web furlong ウエブハロン

地方競馬のオンライン情報誌ウェブハロンPresented by National Association of Racing

Copyright(C) 1998-NAR.All Rights Reserved.

第5回JBC2歳優駿JpnIII

直線末脚生かして差し切る
  地元北海道勢が4年ぶり勝利

馬産地門別で行われる、JBCの2歳戦にはJRAから5頭、ホッカイドウ競馬から5頭の計10頭が集まった。門別競馬は今週が今季の最終開催。残り3日間は重賞3連戦で、JBC2歳優駿JpnIIIは1戦目となる。この日のみデイ開催で行われ、重賞以外の11レースは全て特別戦だった。時折雨が降り、風も強まる中、3,028人のファンが集まった。

1番人気はダートに替わった前走、2着に3秒3差をつけて圧勝したJRAのタガノマカシヤ。2番人気は1戦1勝のキャリアながらレースぶりが評価されたローランドバローズ。4戦4勝の地元リコースパローは3番人気だった。

夕方の雨予報は外れ、佐賀競馬場でJBC競走のパドックが始まったころから雨風がやみ、外に出てきたファンでコース前が埋まりだした。もはや門別は暗闇で、明るい佐賀の映像に日本の広さを感じる。東京トゥインクルファンファーレの生ファンファーレでレースがスタートした。

エイシンキャプテンが積極的にハナを奪い、それをリコースパローが追う。ローランドバローズなどのJRA勢が続き縦長の展開となった。3コーナー手前でダノンフェルゼンが内を突き、タガノマカシヤも上がっていくなどレースが動き出す。この時点で中団後方から虎視眈々と狙いを定め、じわじわと追い上げてきたのがソルジャーフィルドだった。外からまくり、残り200メートルで先頭をかわして3馬身差の完勝。鞍上の小野楓馬騎手はゴールの瞬間叫び声を上げ、大きくガッツポーズ。第1回のラッキードリーム以来4年ぶりとなる道営馬の優勝を果たした。勝ちタイムは1分54秒5(良)。タガノマカシヤをとらえクビ差先着したグランジョルノが2着。4着には9番人気のカセノタイガーが入った。

検量所に戻る小野騎手を、厩務員らが歓声で出迎えた。今年のホッカイドウ競馬のテーマ『門別最強説』をダートグレードで証明し、ファンからも拍手。ソルジャーフィルドはここ2戦、僚馬リコースパローの2着。そのリコースパローを目標にハイペースとなった流れの中じっくりと脚をため、末脚を生かした陣営の作戦がはまり大舞台で雪辱を果たした。展開だけではなく、直線の伸びは将来性を感じさせる強さだった。

生産したグッドラック・ファームの畑大介常務は「震えが止まらないくらいうれしいです」と感無量の表情。母アイルゴーバックの最後の仔だといい「まだ2歳でこれだけの競馬ができる。もっと強くなると思います」と今後の活躍に期待した。

馬産地・新ひだか町出身の小野騎手はデビュー6年目で、着実に結果を残している注目の若手だ。「もっと皆さんを楽しませれるようなレースを、あと2日、さらに来年も続けていけるよう一生懸命頑張りたい」とコメントして観客を沸かせ、その後は最後の1人までサインや写真撮影に応じていた。この日は期間限定騎乗している佐賀の金山昇馬騎手が3勝と気を吐くなど若手の活躍が目立ち、門別競馬の将来も楽しみな日となった。

昨年の勝ち馬フォーエバーヤングは先日、アメリカのブリーダーズカップ・クラシックGIで3着するなど活躍を続ける。勝ち時計が0秒2差のソルジャーフィルドの次走は全日本2歳優駿JpnIの予定といい、新たな夢が広がる。


取材・文小久保友香

写真いちかんぽ(中地広大、浅野一行)

Comment

小野楓馬騎手

とても、とてもうれしいです。前が流れるだろうから、腹をくくって後ろからしまいを生かせる競馬をしようと先生と考えた騎乗をしました。馬に『じゃあ今から行って』とお願いしたときに抜群の手応えで、一気に前との差が縮まった。馬が落ち着き折り合いが付いたことも良かったかもしれません。

川島洋人調教師

ほっとしています。最近では一番いい感じで来ていると思っていた。今日は騎手に、一番いいパフォーマンスができるように指示をしました。前がかりのペースだったのではまるなと思っていました。(リコースパローと)2頭出しのプレッシャーはありましたが、勝てて良かったです。